Committee on Corrosion and Protection

日本材料学会腐食防食部門委員会は会員の研鑽と情報交換を目的とし1961年に設立され、例会や研究集会の開催と共に、腐食防食の教育・啓発のための講習会や各種出版物の発行などの活動を続け今日に至っている。この間、腐食科学と技術は著しく進歩し、社会環境や産業構造も大きく変貌したが、腐食防食への対応と意義はますます深まっている。以下に本会のこれまでの活動について紹介したい。

  • 1.例会

    本委員会では年間6回(隔月)の例会(1例会当たり6-7件の講演)を催しており、2000年9月には224回を迎えた。これは主題に沿った講演とパネル討論からなり、参加者の活発な意見交換の場となっている。主題は、会員の要望に応えるためにその時代の重要課題を選定し、開催1年前から企画立案している。したがって、毎回印刷配布されてきた『腐食防食部門委員会資料』は我が国の腐食防食技術の生きた歴史といえ、一部門委員会の講演会資料の域を超えた斯界における重要文献といえよう。

  • 2.研究集会

    特定の課題をより深く考察し、新しい問題や技術を検討するために、年に1-2回研究集会を開催している。著名な外国人科学者や技術者の招待講演もある。また、この分野での業績によって学位を取得した人に講演いただき祝意を表するなど、腐食防食分野で貢献した人に敬意を表することを目的とした集会も開催している。例会と同様に『研究集会資料』を作成し、印刷配布している。

  • 3.講習会

    本委員会は若い研究者や技術者、また初心者や一般市民に対する教育と啓発に努力している。特に、『腐食防食に関する講習会』は発足当初に企画・実施されたもので、啓発と基礎知識の普及という創設目的の一つでもあった。1971年に腐食教育小委員会を設け、講習会の企画と運営に当たった。本講習会で実施した実験指導は極めて好評であった。そこで、本委員会はドイツの総合化学工業研究機関(略称DECHEMA)の協力を得、1976年に実験指導テキスト『KORROSION UND KORROSIONSSCHUTY』を翻訳するとともに、1977年から『DECHEMA方式腐食防食実験講習会』を開催した。この実験講習会は30近い課題から参加者が選択履修できるようにするとともに、多くの指導員を配してman-to-man方式の指導に努め、他に類を見ない企画であった。1996年の第20回をもって初期の目的を達したと考え終了した。この間の受講生の数は500名を越え、現在指導者として全国で活躍している。この講習会では、毎回受講生にレポート提出を義務づけ、アンケート調査や質疑応答を行い、初心者の陥りやすい間違いなど多くの情報を取得した。それをもとに、初心者でも実験によって腐食防食の理論と実際を独習できるようこれまでのテキストを全面改定した。これを機に、1998年より装いも新たに『日本材料学会方式腐食防食実験講習会』として再開し、2001年で第4回となる。

  • 4.出版活動

    例会や研究集会の資料以外にも多くの出版物を刊行している。以下に一覧を示す。

    • フェライト系ステンレス鋼の工業的利用と腐食試験法の研究(1974)
    • DECHEMAによる腐食防食教程(1976)
    • 局部腐食試験(1979)
    • 現場技術者のための腐食と防食(1982)
    • DECHEMA方式腐食防食実験工学(1984)
    • 設計技術者、保安保全技術者のための防食設計と防食管理(1984)
    • Localized Corrosion(1985)
    • 金属材料応力腐食割れ・腐食疲労強度データ集(1987)
    • 腐食・損傷事例と解析技術(1987)
    • 金属腐食の現地試験と評価(1990)
    • 電子部品の腐食損傷と解析(1990)
    • 熱交換器の管理と余寿命予測(1996)
    • Recent Advances in Coated Steels Used for Automobile(1996)
    • 実験により学ぶ腐食防食の理論と応用(1999)
    • 二相ステンレス鋼の上手な使い方 - その特性と使用実績(1999)

    などであり、現在も新しい企画に取り組んでいる。

  • 5.その他の活動

    本委員会は多彩なメンバーを擁しているので、典型的な学際領域の腐食・防食問題を考察し、解決する絶好の組織である。この特長を活かして、小委員会やTask Group(TG)を編成し特定の課題に関する共同研究や共同作業を行っている。また、研究委託制度もあり、種々のニーズに応えている。成果はいずれも最後に報告書として纏められ、委託研究報告以外は会員に頒布されている。

これら例会や研究集会などの資料は、それぞれの事例における生のデータを駆使し、また多くの事例と比較した内容になっており、一般に市販されている腐食防食に関する参考書や各種データブックにない内容が数多く盛り込まれている。その上、数多くの参考文献も網羅され腐食技術者、研究者にとって必携の書であり、手元に置けるデータベースとして活用頂けるものである。

申込先:
〒606-8301 京都市左京区吉田泉殿町
日本材料学会腐食防食部門委員会
Tel 075(761)5321 Fax 075(761)5325

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